20歳の時に、大学の先生から学んだコミュニケーション術【3選】

当時、日本大学芸術学部放送学科で2年生だった私が、音響技術という講義でお世話になった「A先生」から学んだ事をお話ししたいと思います。

A先生はテレビ朝日の某有名音楽番組で長年、音響(ミキサー)をやっていた方です。現場での経験も長いため、専門知識や仕事のノウハウを、何もわからない生徒にとても丁寧に教えてくれる方でした。

ただ、講義内容も素晴らしかったですが、それ以上に普段からの振る舞いや言動が素晴らしい方だったんです。

今回は、「先生の言動から学んだコミュニケーション術3選」と題してお話ししたいと思います。

1.生徒の顔と名前を全員分暗記していたこと

2回目の講義でのこと。

調べてきた課題を前に出て発表するという内容だったのですが、「じゃあ次、諒太郎!前に出て発表してみて」と私の下の名前を呼んだのです。

ただ、それだけ?と思うかも知れませんが、私の中では、とても衝撃でした。当時、生徒同士も初対面が多く、お互い探り探りの状態。そんな中、2回目の授業でA先生は、約20名の生徒全員の顔と名前(ついでにあだ名も)を全て完璧に覚えていました。

実は、1週間前の講義で、自己紹介タイムがありました。「専攻を選んだ理由」「趣味」「友達から普段なんて呼ばれているか」などそれぞれ2、3分で話しただけ。

年齢を重ねると、若い子はみんな同じ顔に見える(某48グループとかw)、記憶力が低下して「あれ」とか「それ」が増える、なんて言いますが、先生は自己紹介の翌週にその内容を全て覚えていたんです。

後になって、助手さんにその理由を聞くと「名簿用に撮った、みんなの顔写真を持って帰って、移動時間や授業の合間に覚えているんだよ」とこっそり教えてくれました。

普段から忙しい本業の傍ら教鞭をとってくださっているのにも関わらず、生徒の名前をしっかり覚えてくる。

当時の自分には、とてもできないことだと思いました。

自分が学んだこと

社会人になってからというもの、形式上の名刺交換、メールだけのやりとり、お願いではなく命令のような仕事の指示など、、、

そんなドライな人間関係が少しだけ嫌になったときに、A先生がしていた「相手の名前を覚える」ことは、とても大事だと痛感しました。

それからというもの、仕事で誰かに頼み事をするときは「〇〇さん、あの件お願いしてもよいですか?」「〇〇ちゃん、今時間大丈夫?」と必ず会話の冒頭に相手の名前を呼ぶようになりました。

すると、自然と仕事がスムーズに進むようになりました。

でも、業務内容を淡々と告げられるよりも、少しだけ暖かい気分になりませんか?

「相手の名前を覚える」

とても基本的で、ごくごく当たり前のことかもしれないけれど、私は自分が人に教えたり、依頼する立場になったら、このことを忘れないようにしようと思いました。

ちなみに、A先生は私が当時気になっていた女の子の名前をずっと覚えていました。(その記憶はすぐ忘れて欲しかったです笑)


2.物理的な関係が終わっても変わらず接しつづけてくれたこ

A先生の講義は、半年という短い期間でした。その後、学年が変わり、講義を受ける校舎も変わり、大学でばったり会うということもなくなったんですが、、、

A先生は、講義の担当が終わっても教え子として私たちとの交流を欠かさないでくれました。

自分の講義に特別講師として私たちを招いてくれたり、定期的に飲み会を開催して誘ってくれたり、4年生になったとき就職活動の相談に乗ってくれたり。

小学生の時、担任の先生と一緒の1年間は仲良しなんだけど、そのあとって学校であってもどこか他人行儀になったりしませんか?

担当じゃなくなった、接点がなくなっただけで、教師と教え子という立場は変わらないはずなのに、

そんな虚しい気持ちを抱いていた私には、A先生の関係を絶やさずにいてくれたということがとても嬉しかったです。

自分が学んだこと

先生がしてくれていたように、環境が変わろうと、住む場所が変わろうと、お世話になった人や、気の合う人とはこまめに連絡を取るようになりました。

数年ぶりに会いたいなと思った友人に急にLINEしたり、前の職場の先輩には連絡先を聞いて日頃から近況を報告しあっています。

無数にある学校や会社という環境で、「机が隣になった」「一緒のプロジェクトをやることになった」というのも何かの縁。

そういう一期一会な出会いは大切にしようと思うんです。

3.距離感のハードルを縮めてくれたこと

大学生になった醍醐味といえば飲み会。

もちろん授業終わりに友達といくこともありましたが、A先生は私たちを飲み会に積極的に誘ってくれました

「この後予定ある?美味しい餃子屋さんあるんだけどいかない?」「ちょっと今日一杯やりたい気分でさ。付き合ってくれない?」みたいな感じで、、スムーズに女の子をデートに誘うイケメンのように、さらっと誘ってくれるんですよね。

先生から飲みに誘ってくれるとハードルも下がるので、私たちからも飲みに誘う機会も増えました。忘年会や新年会みたいな節目だけでなく、「レポート課題終了記念」「テストお疲れ様会」などと理由をこじつけて先生を飲み会に誘っていました。

また、先生は、少々髪の毛が薄い方だったんですが笑

それを自虐ネタのようにいつも話していました。

僕らも目上の方であるということに敬意は払いながらも、いじったりいじられたりする関係に、とても親近感を覚えました。

A先生は、お酒がお好きだったので、最後の授業が終わった後「はげあたま」という芋焼酎をプレゼントしました。

もちろん、喜んでもらえましたよ笑

自分が学んだこと

相手との距離感って初対面ほど難しいですよね。でも、改めて考えると、自分で壁を作ったり、線を引いてしまっているだけなんじゃないかって思います。

そんな時にA先生の、自分からハードルを下げにいくという教えを思い出すようにしています。

初対面の相手には、まず自分から仲良くしたいです!みたいな雰囲気を作ったり、自虐ネタで自分をいじってもらったり、悩み相談に乗ってもらったり、、、

でも、相手が気を遣わずに接してくれるようになると、人間関係って案外スムーズに進む事が多い気がします。

さいごに

社会人になったある日、偶然会社でのランチの帰りにA先生にばったり会うことがあったんです。

その日はお互い午後の仕事があったのですぐに解散しましたが、僕からLINEで改めて飲みの誘いをさせていただいて、数年ぶりに思い出話にふけることができました。

当時の講義の時の私の印象、飲み会でのアレコレ、私の好きな子の名前、全て鮮明に憶えてらっしゃいました。(流石に好きな子のことは覚えていないと思ったのに💦)

A先生自身は、これらのことを無意識にやっているのかもしれませんが、私にはどんなに為になる本や論文より為になった素晴らしい教えです。

先生、コロナが落ち着いたら今度また飲みに行きましょう!

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